初心者にもわかりやすい!!ステップ毎に学ぶ3Dキャラモデルの作り方。第一回:顔のモデリング【CGキャラクターモデリング】

はじめに。

こんにちはカナダでAsset artistとして働いている小山順之(@annoonblog)です。最近Fan Artとして約2週間かけて進撃の巨人のリヴァイ兵長のモデリングをしてみました。そこで今回からキャラクターモデリングについてステップ毎に7回に分けて僕が行った作業を紹介させていただきたいと思います。

この記事を通して僕が1番伝えたい事は、特に3DCGを始めたばかりの方や、学生さんに『CGキャラクターモデリングはコツを掴んできちんとしたワークフローを踏めば誰にでもできる』という事です。なんだか難しそうと思っている方も安心して下さい!!ひとつひとつのステップをシンプルに丁寧にこなしていけば必ず結果はついてきます!!
余談ですが、僕は普段背景CGやアセット制作の仕事をメインとしているのでキャラクターモデリングを頻繁に行っている訳ではありません。特にリギング等は普段全然やらないので、今回は学生時代のノートを復習したり、色々調べながら作業を進めました(汗)という事で僕もまだまだ日々勉強しながらこの記事を書いています。そして僕が学んだ事を共有する事で読んで頂いている皆さんとお互いにスキルアップしていければと考えているので、そのあたりも踏まえて参考にして頂けたら嬉しいです!!!
 
今回作った完成イメージと動画はこちらです!!!

この記事で覚えられるTIps
・モデリングを始めるまでの準備
・シンメトリー機能の使い方
・soft select機能の使い方
・スナップ機能の使い方
・Create Polygon機能
使えるショートカット
B→soft select
B長押し+中ボタン→soft selectの影響範囲調整
G→前回使用した機能を再び実行
ctrl+shift+移動→エッジ上をスライド
一般的な有料のチュートリアルに負けない、もしくはそれ以上に得る物の多い記事を書く事を目指してまとめていきたいと思いますので、参考にしていただけたら嬉しいです。
現役で海外のVFXスタジオで働きながら得ている知識やスキルをどんどん共有していきます!!!

1.ワークフローの確認

モデリングを始める前にワークフローを確認したいと思います。今回僕が行ったフローはMayaでモデリングとUV展開を行った後、Substance Painterでテクスチャリング、そして再びMayaに戻ってAdvanced Akeletonを使ってリギングを行い、Adobeのmixamoを使ってアニメーション付け、さらにイメージの方はPhotoshopを使ってペイントを行いました。
これら一つ一つの工程を複数回に分けて記事にしていこうと思います!!!

 

2.まずはリファレンス画像を収集する

モデリングを始める前にまずリファレンスとなる画像を集めましょう。メインは正面の画像と横顔の画像です。
正面の画像に関してはPhotoshop等で左右対称になるように加工しておきます。その際正面の画像と横顔の画像の顔の長さが同じになるようにサイズも調整しましょう。今回使用したメイン画像はこちらです。
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会
そのほかにも様々な角度のリファレンス画像を集めることが重要です。今回僕は20枚程の画像を集めました。モデリングを始めてみるとわかりますが、2Dのイラストは一方向から描いたものであるのに対して3Dは立体的なものになるので、どの角度から見てもそのキャラクターらしい輪郭が出るようにモデリングしなければなりません。そしてそれがキャラクターモデリングにおける最も難しい作業なのではないかなと個人的には思っています。そこで良いリファレンスを集めてそれを何度も見返しながら限りなく近い形状を作成するという闘いになります。
Mayaのオペレーション的には難しいは事はないので、安心してください!!

さらに今回は顔のベースとなるフリーモデルをネットでダウンロードしました。”3D model face free”と検索すると沢山フリーのモデルが出てくるので、ローポリでトポロジー(ポリゴンの形状)がきれいなものを選びましょう。
僕は今回このモデルを使いました。

同じ要領で”3D model human free”と検索して、顔とは別に体のベースとなるモデルもダウンロードして下さい。こちらもローポリの物を選びましょう。そしてある程度手の形状がきれいなものを選びましょう。

リファレンス収集おさらい
・正面と横顔2枚の他にもいろいろな角度の画像を集める
・正面は左右対称に加工する
・正面と横顔で顔の長さが同じになるようにサイズを調整する

3.モデリング準備

ベースとなるモデルとリファレンスを手に入れた所で早速モデリングを始めます。まず初めにダウンロードした顔と体のモデルを読み込みます。そしてスケールを合わせる為に、Create→Measure Tool→Distance Toolをクリックし片方のlocatorのy軸の位置を作りたいキャラクターの身長と同じにします。リヴァイ兵長は160センチという事なので、僕は160にしました。この時Window→Setting/Preferences→Preferecesと進み、Settingの部分でLinear:の項目がcentimeterになっている事を確認してください。作成した160センチのガイドに合わせてダウンロードした顔と体のモデルを配置し、スケールを大まかに合わせます。

次にリファレンス画像用に新規平面を作ります。続いて新規でランバートを作り、カラーの部分に収集したリファレンス画像を適用してモデルの周り(後ろと横)に配置します。ちなみにビューポート上でテクスチャを表示するには下記アイコンをクリックして下さい。

そしてもう一つ、リファレンス画像用の平面をクリックしても選択できない様にロックします。
やり方は簡単で、リファレンス画像用の平面を選択した後、画面右側のChannel Box/Layer Editorタブをクリックし、右側下部にあるLayers→Create layer from selectedをクリックします。そしてPの横の空欄をクリックしてRにします。その結果ビューポート上でリファレンス画像がロックされました。

これで作業開始の準備は整いました!!

モデリング準備おさらい
・Distance Toolを使ってモデルのスケールを合わせる
・平面にリファレンス画像を適用し、正面と横に配置
・Layer機能を使ってリファレンス画像用平面をロック

4.モデリング開始-顔の形状を調整する。

準備が整ったのでいよいよモデリングを始めましょう!!
まずはリファレンス画像に沿って正面から輪郭や目や鼻、口の位置を合わせていきましよう。

この時シンメトリー機能を使って左右同時に調整を行いましょう。まずは顔のモデルを選択して、画面左側の移動ツールをダブルクリックしてTool Settingを開き、Symmetry Setting→Symmetry→Topologyをクリック。そしてモデルの真ん中にあるエッジを一か所クリックするとシンメトリー編集できるようになります。

さらに、ソフトセレクション機能も使ってモデルの形状を滑らかに調整していきます。ソフトセレクションはショートカット”B”です。そして影響範囲の調整は”B長押し”+中ボタンドラッグです。

ここからはひたすらモデルの形状をリファレンスに近づけていきましょう。まずは正面、そしてそのあとに横顔を合わせます。しかし、ここで大抵の場合は正面を合わせる→横がずれる。横を合わせる→正面がずれる。という状態になると思います。
これは2Dのイメージは1方向からきれいに見えるように描かれているため、必ずしも正面と横で顔のパーツの大きさが合っていない
からです。なので僕は正面をメインに合わせつつ、色々な角度から見てそのキャラクターっぽく見える顔の形を探る形で調整しました。モデリング用に作成された正確なリファレンス用イメージが無い限り、すべてを完全に合わせるのは無理なのでそれを前提にいいバランスを探ってみましょう。
ある程度形状が整ったらトポロジをきれいにしましょう。頂点の位置がなるべく均等で滑らかになるように心がけます。
この時にもともとある形状を崩さないようにパーテックスを移動するにはctrl+shiftを押しながら移動する事でもともとのエッジ上をスライドさせる事が出来て便利です。その他にも必ず覚えておいた方がいいMayaの役立つ厳選ショートカットを以前の記事(Mayaおすすめショートカット28選)にまとめてありますのでぜひチェックしてみてくださいね!!
大まかなトポロジの流れは下記イメージを参考にしてみて下さい。
調整後の顔のモデル

5.眉毛とアイラインの作成

次に表情を作る上で重要になる眉毛やアイラインを作っていきましょう。ここのステップは仕上がり結果に直結する大事な部分なので可能な限りリファレンス画像に近づくように丁寧に作業しましょう。
作り方としてはここまで作成した顔のモデルに沿って新しいモデルをつくるのが速いと思うので、まずはスナップ機能を使います。
顔のモデルを選択して、下記マグネットアイコンをクリックするだけです。

その後Mesh Tools→Create Polygonをクリックしてポリゴンを作っていきます。一つ目の四角ポリゴンが出来上がった後はMesh Tools→Append to Polygonをクリックしてポリゴンを追加していきます。ショートカット”G”を押すと同じコマンドを繰り返せるので、新しいポリゴンが出来上がったらGを押して次のポリゴンを作るという形で効率よくラインを作っていきます。

リファレンス画像に基づいてモデルを作っていきます。

調整し終わったモデルがこちらです。

ここまでの顔のモデル
最終的なモデル

6.目の作成

目のモデルに関しては最終的な見栄えを考慮するといくつかの方法があり、それぞれメリット・デメリットがある様ですが、今回は目の窪みを作る→白目部分を作る→黒目部分を作るというフローをとってみました。
こちらがその画像です。
キャラクターモデリングについてはキャラクターモデリング造形力矯正バイブルという本がとても役に立ちます。きれいなトポロジを理解できたりパーツ毎の造形を細かく解説してくれる本なので、これを読めばスキルがかなり上がると思います。

ここまでやってみてなかなか顔のバランスがうまくいかない方も安心して下さい!!次回は髪の毛の作成以外にも顔のモデリングのもう少し細かい解説もまとめたいと思います。

今後も役立つ情報を発信していくのでTwitterフォロー是非よろしくお願いします!!!

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アニメ面白ネタまとめ記事もありますので、仕事で疲れた時は楽しんでみてください!!笑

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